若いって恐ろしい

※かなり古い作品です。


 

 ケツにナニぶっこまれて、野郎の自由に揺すられてるってのに、口から飛び出る声はやけに甘ったるい。

「んぐっ、ぅ――ふ、あ、ああ……っ!」

 どんなに歯ぁ食い縛っても漏れる声に、自分の頬を張っ倒したくなる。けれど拳は握れどもそこにはシーツが巻き込まれ、かたくなにしがみついて離すことができない。それどころか、肌触りのいいその布地にうつぶせの身体を、何もしてもらえない自分のものをこすり付ける。

「――はっ! なにオナってんだよ、おっさん」

 野郎の笑う声と同時に、ぐるりと身体を回され、仰向けに転がされる。
 一瞬、やつの背で光る電光に目がくらむも、すぐに別の理由できつく目を閉じた。
 奥、深いところまで抉る熱に、息も絶え絶えになりながら、その衝撃に耐える。

「や、もっ――! も、無理だ……っ」
「まだいけんだろ? てか、無理って言える具合かっての。まだぱんぱんに腫らしときながらよ」
「ちが、っぅ」

 拒否の言葉を出そうとしたところで、かみつくようなキスにそれは飲み込まれる。
 野郎と歯とおれの歯ががちがちぶつかり合い、時には歯茎にあたったり、軽く舌をかまれたり。必死で押し返そうと動かすおれの舌に絡む、その激しさと対照にねっとりとしたしつこさを見せるやつの舌。
 鼻で息をする余裕も合間もなく、どうにかこうにか時々現れる重なりにできた隙間で呼吸をするも大して酸素は入ってこない。それどころかどっちのもんかはわからない唾液が組み敷かれるおれに全部流れこんできて、むせるまでにそう時間はかからなかった。
 咳き込むと同時にやつの口は離れ、高い位置から残忍な目ぇして見下げてくる。

「ははっ、んなにぎちぎちにおれの食って、うまい?」

 すっげえ締めてくんだけど、なんてほくそ笑むやつに、涙がにじんでぼやける視界のまま睨む。けれどこれすらも野郎の手の内らしく、堪らねえ顔、だなんて言いながらまた顔を寄せてきた。
 未だ軽く咳をしながら、さっきと同じものされたらたまったもんじゃないと大きく顔を背ける。だがやつはそれが気に入らなかったらしく、苛立たしげにおれの名前を呼んだ。それも無視してどうにか身体を捩り逃げ出そうと試みたところで、肩を掴んで戻され、顎を掴まれ無理矢理前を向かされる。
 歯を噛みしめ、意地でも唇も開けるもんかと強く結べば、寄せられた野郎の口はべろりとお頬を舐めた。
 次に目じり、瞼の上、鼻をがじがじと噛まれる。
 思いの外噛む力が強く、非難の声を上げようと薄く口を開いた瞬間に、すかさずやつの舌が割入った。
 また繰り返される獣じみた口づけに遠く彼方へ吹っ飛んでる余裕はもはや影すら残さず消え去り、懸命に息継ぎをしその激しいものを受け流そうとする。
 だがまだ余裕があるらしい野郎は、ただでさえ時折しか生まれない唇同士が重なる隙間をぴたりと埋めて、呼吸を奪う。

「ん、んん――っ」

 さすがにこれはまずいと、密着する野郎の肩を押し返えそうとするも離すことができず。むしろもっと苦しめてやると言わんばかりに片手が頭の後ろへ回り、舌根ごと撫でていく。
 裏までご丁寧に舐め上げてくれて、ぞくぞくしたものが背筋を走るも、今はその快楽に身を委ねてるような暇はない。
 ただでさえ朦朧としていた意識が、さらに霞を増して遠のいてく。そこがさらに暗くなりかけた頃、ようやく腹黒い口が離れていった。
 精一杯大口あけて息を吸い込むおれを余所に、野郎はいつの間にか止まっていた律動を再び動かす。
 息を整える暇もなく、歯を食いしばることもできないままそのままに溢れる声を吐いた。

「あっあっ、あっ! そこっ、ぅ、ぐ――」

 情けなくも口の端から垂れる涎に気づくことすらできず、閉じられない口から次々声は飛び出す。
 どんなにその合間合間にやめろといっても、被さる身体を退かそうとして手を伸ばしても、指を絡められてシーツに押し付けられる。

「ふ、は……そろそろ、出すぞ」
「っ! 中、は、やめっ」
「知るかよ」
「ひ、ぐ――――ぁっ!」

 みっちりの中に埋め込みながら、野郎は遠慮も手加減も知らずに、奥深く、この馬鹿しか知らない場所へ欲を放つ。
 それを感じながら、声にならない悲鳴を上げながらおれも熱を吐き出した。

 

 

 

 散々人の身体をいいようにしたあの野郎は、ようやくその歳に見合った顔をしながら大人しくベッドで眠りについていた。
 おれが風呂に入ってる間に色んな始末はつけてくれたようで、ふかふかのベッドの中が心地よさそうに見える。
 そこへ入りこみながら、先客を壁際に押すも、何故か寝ているはずなのに意図しているように伸びてくる腕の中につかまってしまった。離そうとしても、がっちり背中から掴んでいる。
 ――疲れたし、もういいか。
 やけになって外させるのもさらに疲れるだけだと、その状態のまま目を閉じた。

 

 おしまい


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記念すべきというわけではないですが、生まれて初めて書いたエロ場面でした。
思えばこのときから今まで、エロは苦手なまま……ですが、ちょっとでも成長してるといいなあ、と思います。


2012/06/02