日常

今回は【Desire】の真司と岳里を書いていただきました!
しかもなんと、異世界に行く前のふたりです! あのまったく接点のない、単なる同級生だった時代のふたりです(笑)
ぜひ皆さまも、菜月さまの描いたふたりのとある一瞬をお楽しみください



◇日常◇

制服のスカートを翻すように駆けていく生徒…主に女子。しかも集団。
彼女達の迫力に負けたらしい通行人が何名か端に寄っている。主に男子。
放課後になりたての廊下は、部活や帰る生徒達でとても賑やかだ。
時折、教師の注意する声も聞こえるものの素直に聞く奴らは数少ない。
そんな中、人が集まっているグランド側へ窓越しに顔を向けてみた。
今日はサッカー部が他校と交流を兼ねた練習試合をやるらしい。
気が付けばクラスにいた筈の女子は居なくなっていた・。
……無理もないか。
容姿端麗、頭脳明晰で有名な岳里がサッカー部に頼まれて助っ人をするらしいから。
同じクラスにいながら話したことも無い岳里は、人気は有るけれど無口で無愛想だ。
部活の勧誘や告白では首を縦には振らない彼らしいが、助っ人ならたまに首を縦に振る。
今日助っ人を勝ち取ったのはサッカー部。代償が何なのかは知らないけど、かなり有利になるんだろうと予想はつく。
荷物を持ち昇降口から外へ出る。
サッカー部の居る場所には早くもギャラリーが集まっていた。
何気なく目を向けた先で、不意に交わったのは茶色の眼。

「え」

そんな筈はない。此処からサッカー部のいる場所は離れているし、おれは岳里とは話したことも無いんだから。
瞬きして再度目線を向けると既に岳里はサッカー部のユニフォームを着た奴らに囲まれていた。
気のせいだったんだろう。
単なるクラスメートで距離もある。岳里がおれに気付くことなどある筈が無い。気を取り直しておれは家へと急ぐ。今日もやることが沢山あるから。

END

頂きもの after

 


菜月さん、本当にありがとうございました!