ゲーム

※某アクションゲームをやるふたり


 

 手に持つ端末の画面を真剣に覗きながら操作していた龍之介だが、咄嗟にキャラクターを左に避けさせようとして、思わず自分の体もそちらへ傾いた。

「わ、わわっ、わー!」
「おや、見事に吹き飛ばされましたね。あのタイミングで自ら向かうなどなかなかできるものではありませんよ」
「誉めてはないよね……」
「ほら、また来ますよ、ガードです!」
「え、わ、あっ」

 ガキンと攻撃を弾く音が響く。牙竜の爪に倒れてもなく、体力ゲージもほんのわずかに削れた程度で、無事ガードが成功したことを示していた。
 これまではタイミングが合わなかったり、うまくガードの構えができなかったこともあって、はじめてできた防御に龍之介は大いに喜ぶ。
 が、敵の巨体がのけぞるように持ち上げられたかと思ったら、龍之介の操作するキャラクターを下敷きに押し潰してしまう。隣にいたはずのナギはとっくに避けて無傷であるが、龍之介のほうは体力のゲージが残り数ミリまで削れてしまった。
 攻撃を受けたことでよろけたところを、大型の牙竜種の周りを動き回る小型のモンスターが待ち構えていたかのように牙を剥いた。このままでは体力が底を尽きてしまうのに回復は間に合いそうになく、もうだめかと思ったそのときだ。

「まったく、目を離していられませんね」

 そんなナギの溜め息混じりの台詞ともに、体力が回復していく。どうやら助けてくれたようだと気がつき、龍之介は画面から目を離して感謝した。

「ナギくん、ありがとう!」
「余所見しない!」
「は、はいっ」

 小型モンスターに想定通り小突かれながらも生き延びた龍之介は立ち上がり、体勢を整えた。

「さて、ここからが本番ですよ! 武器を構えて!」
「わかった! ……あれ? ガードしちゃった……?」
「WHY……!? 四角で攻撃です!」
「あ、そっか! って、わああああっ! ちょ、わあっ」
「……なんという神回避の連続……」
「た、たすけてくれっ!」

 どうやら肩を並べて戦える日はまだまだ先のようである。

 おしまい

 2018.10.4

 

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