セクハラでアウト判定を受ける106

※ TRIGGER+ピタゴラス
※ セクハラかましてるので、苦手な方はご注意ください


 

 長時間歌番組で、IDOLiSH7とTRIGGERは夏の島音楽祭で共演した『NATSU☆しようぜ!』を再び共に歌う機会を得ることになった。他にもIDOLiSH7とTRIGGERの曲を交互に組み合わせたメドレーも予定され、その際には同じステージ上で入れ替わり歌唱を続ける演出が取られることが決まる。そのための合同練習で事件は起きた。
 仕事の都合上、MEZZO”と一織、陸が一時間ほど遅れて練習スタジオ入りすることになっていて、先に来ていたTRIGGERの三人と、大和、三月、ナギの計六人でまずはメドレーの立ち位置を入れ替えるシーンの合わせをすることになった、
 順序は先にIDOLiSH7が歌い、次にTRIGGERと入れ替わるというものだ。音楽に合わせてナギがステップを踏んでからターンをして奥に一度はけるというとき、回転したその先にいた龍之介と正面からぶつかってしまった。
 ナギは盛り上がる鍛えられた胸筋にばいんと弾かれ、尻餅をついてしまう。

「アウチ!」
「ご、ごめんナギくん、大丈夫か?」

 臀部を強かに打ち付けた痛みにナギが悲鳴を上げれば、すぐに龍之介が手を差し伸べる。
 一瞬とるのを躊躇ったが、倒れたナギを心配し練習を一時中断して集まってくるメンバーが視界の端に見えた。みなが見ている中で、あからさまに龍之介を避けて立ち上がってしまえば、あとで三月に怒られかねない。
 不本意ながらも龍之介の手をとれば、太い腕は片手で難なくナギを引き上げてみせた。

「大丈夫か、ナギ。派手に尻持ちついてたみたいだけど」
「ミツキ~……ワタシのプリティなヒップがふたつに割れてしまいましたっ」

 はじめっからふたつに割れてんだろが! と言うであろう三月の素早いつっこみを待っていたナギだったが、それよりも早く目の前の龍之介に抱きつかれ、そして下半身に走る感触にかたまった。
 心配そうな表情をしていた龍之介は、ナギの尻を包んだ手でそこを揉み、安堵の笑顔を浮かべる。

「大丈夫、腫れた感じもないし、ナギくんのお尻は無事だよ!」 
「おま……龍……」

 絶句する楽の声が聞こえなかったのか、龍之介はもう一度ナギの尻を確かめるように揉んだ。

「ナギくんのお尻ってやっぱり小さいね。手の中に収まっちゃうよ」
「龍、それはアウトだ」
「完璧アウト」
「十さん、さすがにそれはレッドカードで一発退場です」
「ナギがまずいことになる前に放してやってください」
「えっ……!?」

 楽と天のみならず、大和と三月も責めるようなまなざしを受けた龍之介だが、まだなんことかわかっていないようで困惑している。
 本気で無自覚の行動であるのだということは、その表情から十分に伝わるが、しかしなおのこと性質が悪いと天は呆れ、楽は内心で頭を抱えた。

「おまえな……いくらなんでも尻を揉むのはまずいだろ」
「あ……わあああ! な、ナギくんごめん!」

 ようやく自身の失態に気がついた龍之介は、一気に顔を赤くして飛び跳ねるようにしてナギから離れる。
 しかし時すでに遅く、ナギは自分を守るようにして龍之介のと間に立った大和と三月の傍に行き、無言で三月の背中に抱きつ頭に顔を埋め隠れてしまう。
 大人しいナギの頭を撫でてやりながら、大和と三月はじっとりと龍之介を睨む。
 そんな非難の眼差しを受ける龍之介はというと、メンバーに詰問されていた。

「触ったのはお尻だけ? 余罪はない?」
「あるなら今のうち吐いておいたほうがいいぜ。おまえの罪が軽くなるわけじゃないがな」
「ご、誤解だ! 本当に、揉んだのは申し訳ないけど、ただナギくんのお尻が心配になって……」
「へえ。六弥ナギの匂いを堪能していた疑惑もあるんだけど、それはどうなの」

 天の言葉に、龍之介の顔はさらに青くなった。

 

 


 後から合流したメンバーに、三月が自分の背中に引っ付いたままのナギの説明を話したところ、

「ケツって腫れてるかどうかって、触ってわかるもん?」
「うーん……十さんはナギの腫れてないお尻知ってるのかな?」

 と、環と陸がぽろっと口に出したことにより、他のメンバーは凍りついたという。

 おしまい

※(みんなには秘密で)付き合っている龍ナギ

 2018.6.27

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