※ 会話中心
「……ふふ」
「画面を見て何を笑っているのですか?」
「えっ!? な、ナギくん!?」
「何故そんなに驚くのです。いかがわしいものでも見ていたのですか?」
「ち、違うよ! 大したものじゃないから!」
「Hm……」
「それより、お風呂から上がったらちゃんと髪を乾かさなきゃ」
「喉が乾きました」
「じゃあ先に水分補給だね。ミネラルウォーター?」
「YES。お願いします」
「了解。持ってくるね」
龍之介は手にしていた端末を机においてキッチンに向かう。ナギから声をかけれ咄嗟に画面を消したので、見ていたものはそのままになっているはずだ。
ナギは龍之介が目を離した隙に携帯端末をとって画面をつけた。以前から教えてもらっていた番号を入力しロックを解除する。そして写し出されたものに、ナギは一度顔をしかめるようにむず痒く動く表情を固めようとするものの、それでは堪えきれずにじわじわ頬が染まっていく。
「ナギくん、氷はいれ――あっ!?」
「リュウノスケ。アナタ、これを見て笑っていたのですか?」
ナギの寝顔が写し出された画面を見せれば、龍之介は慌てて取り返す。
「これは、その」
「このワタシを盗撮とはいい度胸ですね。使用料をいただきたいのですが」
「え」
「そうですね。こんな無防備な姿を撮られてしまったのですから、アナタには罪の贖いも含めた相応の恥ずかしい写真を提供していただきましょう」
「は、恥ずかしい写真?」
「誰にも見せられないようなやつですよ。今からあちらで撮影会といきましょう」
示される寝室に続く道に、ナギの微かに赤らむ頬に、試すような眼差しに、その艶めいた微笑に。
、これからの撮影会に何が起きるのか予想した龍之介はごくりと生唾をのみ込んだ。
翌朝、髪を乾かさず寝てしまったナギには龍之介に負けず劣らずな寝癖がついていた。
おしまい
2018.8.5