初めから勢いに任せ食べ続けたテイルは早々に白旗を上げ、人並みにしか食べないユールはそれでも弟より後に食器を置いて口元を拭っていた。兄弟は最後まで食べ続けられなかったが、しかし机を占領するほど用意されていた料理の数々は…

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  頭上から様子を見守っていた小鳥たちに別れを告げたデクは、ユールを連れて、二人が出会った場所にほど近い自宅へと帰った。 そこで昨日罠にかかっていたところを仕留めた、皮を剥ぎ、腹を裂いて臓器を取り出したり血抜きをしたりと…

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  今すぐでなかったとしても、今後なにかがあるかもしれない。 日を跨いでも一向に不安も罪悪感も消えなかったデクは、現在の仕事場としている森と町との境に出向く前にまず町中へと足を運んだ。 目的は町の東寄りに位置するユールの…

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  デクの父は巨人族で、母は人間だ。しかしそれぞれがその種族の普通、とは言い難い特徴を持っていた。 巨人族である父ユグは、成人をしてもなお成長盛りの巨人の子供ほどしかない低身長で、対して母メリアは人間では周りの男を軽く越…

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   根元から切り倒されて横に積み重ねられた生木は、成人女性の腰より太い。デクは枝を落としただけのその丸太を両手で掴み、全身に力を入れて肩に担いだ。一人では持ち上げられることさえ容易ではない四メートル…

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きみのこころ

 新人の指導と同僚の病欠によって仕事が立て込んでいたユールが、三日ぶりに家にやってくる。 その事実に、デクは椅子に腰を下ろしながらも落ち着きなく、玄関の扉と机においた自分の手に視線をさまよわせた。 準備はできている。大丈…

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