とうとう餌にありつけると確信して油断しきっている。それならまだ、どうにかこの状況を打破できる好機は巡ってくるはずだ。 まだ痛みで視界が霞むので回復を待つため抵抗を止めて大人しくすると、それに諦めたと勘違いしたゲントが…

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  酒場を出たその足で、すぐさまノノはシュロンのもとに向かった。 その間にもずっと頭を巡っていたのは、マイルから聞いたばかりのシュロンのことと、そして幼い身に絡みついている大樹の秘密だった。『確かにあの地下を守る守護者は…

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 「おやっさん、酒!」 開店前でまだ人気のない店内に入るなりカウンターにどかりと腰を下ろしたノノに、酒場の主であるマイルは苦笑を浮かべた。「わかりやすくいらついてるじゃねえか。どうしたよ」「べっつにー。クソみたいなツラを…

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  シュロンに絵皿を与えた日から、彼のもとを訪れる時には気まぐれに戦利品を持っていくようになった。 どれもリスクを負いながらも手に入れたものだ。ただ見せびらかすだけであの欠けた絵皿のように差し出すことはしなかったが、シュ…

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 「ちょっと欠けてるけど、でも綺麗だったから。おまえにやるよ」 絵皿は縁がほんの少し欠けて、そこから薄くひびが入ってしまっている。 盗み出した時からすでに破損があり価値はないものだったが、だからといってそこに描かれるもの…

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  地下であるはずなのに地上に注いでいるはずの月光が落ちた薄明るい場所の中央に、巨大な木が立っていた。 光が漏れている高い天井に届くほどの大樹にも驚かされたのだが、その時のノノは巨木の前にぼうっと浮かび上がる白い人影に目…

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  心地よい眠りから浮かび上がったノノは、ふああと大きくあくびをしながら身体を起こした。 寝転がっていた場所に手をつくと、かさかさとした手触りを感じる。視線を落とすと、眠る前には確かになかったはずの木の葉がわさわさと積ま…

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