役場への道は人で溢れていた。その周辺が避難場所として指定されていることもあるのだろう。 立っていたり腰を下ろしていたり、話しをしていたり、蹲っていたり、その姿は様々だ。見る限りけが人はおらず、勇者によって魔…

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  リアリムは壁際に置かれた椅子に腰かけ、魂を抜かしたようにぼうっと町長と勇者たち四人が消えた扉を眺めた。 彼らが入ってからどれほどの時が経っただろうか。すぐに終わるとリューデルトは言っていたが、待っている時間…

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  森の中をひたすらに進むだけの旅は、皆の考えではそれほど苦労しないものと思われていた。 リアリムも薬草を売りに何度か行ったことのある隣町。人の足で二日程ともあってそれほど遠いわけではないし、凶暴な獣も魔の者も…

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 「ヴェル……! そうか、おまえはおれと一緒にいたから!」 リアリムの掌にちょこんと乗るのは、友である鼠のヴェルだ。尾先の毛が膨らんだ根元に二重の金輪が嵌められているのが特徴だった。それは出会った頃からヴェルが…

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  ようやく辿り着いた村は、見慣れた景色を一変させ、惨憺たる現状をリアリムに突きつける。 しばらくリアリムは立ち尽くした。やがてゆっくりと我を取り戻していくと、引き寄せられるよう、ふらつく足取りで力なく進み始め…

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  金髪の青年を筆頭に、三人の男たちは一言も漏らさぬまま森を進んでいった。 周囲を警戒し、些細な音すらも逃さぬよう耳を立てる。やがて鼻についた焦げ付いた匂いに、金髪の青年の後ろを着いていた二人が互いに顔を見合わ…

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序章

 この作品は、残酷的な描写が多く含まれます。また物語上、人によっては受け付けられない、読み流すことができないような好みが大きく分かれるような展開にもなるため、自己判断のもとお進みください。また、恋愛要素もかなり…

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