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口を離すと、溢れた薬湯で濡れた口もとを拭いながら直人は真っ直ぐにガルディアスを睨みつける。「なにすんだよっ……!」「薬湯をのませてやっただけだ。このまま水分すらろくにとらず死ぬ気か? セオリが悲しむぞ」 人は食わなけ…
続きを読む →口を離すと、溢れた薬湯で濡れた口もとを拭いながら直人は真っ直ぐにガルディアスを睨みつける。「なにすんだよっ……!」「薬湯をのませてやっただけだ。このまま水分すらろくにとらず死ぬ気か? セオリが悲しむぞ」 人は食わなけ…
続きを読む →直人をかどわかすように指示を出したのは、以前から彼の代身としての素質に執着していたザルスウェルだった。ガルディアスに直接直人を引き渡すよう交渉を持ちかけることはあったが、まさか犯罪に手を染めるほどに欲していたとは、彼…
続きを読む →途中で合流したロウェルに抱かれ、暁月の君は目的の場所に辿り着いた。 外へと続く回廊では人除けがされていて部外者が足を踏み入れないよう見張りが立っていたが、呪術師である暁月の君と王の側近であるロウェルの姿を見るなり敬礼…
続きを読む →『おい、どこにいくんだ?』『こっちにあるんだ。もうすぐつく』 どうやらもともと回廊から抜け出る予定だったらしく、振り返らないまま答えたコウェロは先に進む。 思わず足を止めていた直人の背を、再びセオリが導くように軽く…
続きを読む →あれだけ素っ気無い態度をとり続け、無視もしていたのに。むしろ嫌われるような態度をとっていたし、直人自身はガルディアスをよしと思っていなかったはずだ。それなのにいつの間にか自分はガルディアスに心を許しつつあることに…
続きを読む →『ナオトさま、よい天気ですよ』 明るい声で語りかけながら、セオリは窓を開け放つ。ふわりと風が舞い込んでくるとともに、遠くから賑やかな喧騒が聞こえてきた。 踊り出したくなるような軽快な音楽に誘われ、直人も窓の傍へ…
続きを読む →呪いの影響を受けやすい立場にあるガルディアスは、暁月の君に定期的に様子を診てもらっている。 代身がいないことはガルディアスにとって最重要の機密事項であり、その場に立ち会うのはその秘密を知る腹心の臣下のみであるため、…
続きを読む →暁月の君とゼルディアスと別れ、ロウェルに付き添われながら私室へ向かっていたガルディアスがふと顔を上げると、暗い夜空の中で直人のいる塔の部屋に明かりが灯っているのが見えた。 まだ起きているらしく、なんとなく気になった…
続きを読む →もがくように苦しんでいたガルディアスだったが、ふと糸が切れたように動かなくなる。 圧し掛かっていた身体の重みがさらに増し、周囲に支えられていなかったならばきっと直人もともに倒れていただろう。 崩れないように踏ん張り…
続きを読む →同衾済みネタバレはありません 素肌に絡まる赤髪がくすぐったくて、つい直人は笑う。 その微かな動きに、背中を覆うように抱きついていたガルディアスが小さく声を漏らした。 起こしてしまったかと思ったが、どうやらまだ夢の…
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