願い

『―――』※蛇足・真司編の数日前の話。先にそちらをお読みいただいたほうがいいかもませんが、読まなくても問題ないです。最初は過去高校時代→現在の流れ。岳里視点 もうすぐ朝のホームルームが始まるというのに、いつもならすでにい…

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青き宝玉の瞳に誓いを忘れず

 九章の間にあった出来事。本編に入れることができなかったエピソードですが、ご感想いただけたのが嬉しくてつい勢いで書かせていただきました。先にアロゥ外伝(※NL)を読了いただくことをおすすめします。※BL要素なし 美味しい…

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月夜

本編完結から数年後。初夜を迎え、眠りについた後のこと。 そっと瞼を持ち上げると、静寂に包まれた暗がりのなかにいた。 何度かゆっくり瞬いた悟史は、窓の隙間から差し込む淡い月の光に照らされた世界を、微睡みからから抜け出せない…

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  ルカ国所属第七部隊、別名治癒隊に入隊したばかりの新人見習いはまず、国中の女と子どもが集められ保護されているバノン・ラーゲにて三か月の研修期間が設けられている。そこで男女の身体を学び、一般人では決して見ること…

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おれが照れてどうすんだ!

  それは、ジィグンからの一言だった。「岳里の表情を変えたい?」「そう。あいつ、おれたちと再会してもいつもの顔だろ? たまにはべそべそしたりとか、にこにこ笑わせたり、驚かせたりしてやったり、そんな顔を見てえんだ…

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1月1日

 身支度を整えた息子たちが部屋から出てきたのは、ほぼ同時。 炬燵でまどろむおれと岳里に振り返り、りゅうは笑顔を見せた。「じゃあ、先輩のところに行ってくるね」「おれもダチと行くから」「竜司、しっかり暖かくしていけ」「わあっ…

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雨の日

  本屋から出た途端、灰色のアスファルトにぽつりと小さな染みができる。それは次第に数を増やし、瞬く間に乾きの色を雨で塗り替えてしまった。 厚い雲に覆われた空を見上げて溜め息をひとつつく。(やっぱり降り出したか)…

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クリスマスの朝

  サンタさんはきっと忙しいからぼくはいい、と。しんちゃんたちと一緒にクリスマスを過ごせればいいんだなどといじらしいことを言うりゅうをどうにか言いくるめ、サンタへプレゼントの希望を書いた手紙を用意させる。そして…

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いつもの日常、いつもの朝に

 ピピッ ピピッ 聞こえる目覚まし時計のアラーム音に、一度目を擦ってからそれを止める。 沈黙したそれの腹をみて時間を確認していると、自然に出てくる欠伸。噛みしめることなく大口を開けて息を吐いていると、やつも起きたのか、隣…

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ひとくちの報い

 岳里が願うのであればそれをなるべく叶えてやりたい。そう常日頃思っていた。 普段から決して口数の多いわけではない、何でも一人でこなしてしまえるやつが、おれに何かを頼むことが稀だからというのもある。今まで沢山のおれの願いを…

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