ディザイアとユユさんと別れ、しばらく岳里と二人で黙ったまま歩き続けると、不意にその沈黙が破かれる。「――竜は本来、何人、何百人何千人。どれほどの人間が群がろうとも倒せるような存在ではない」 突然のことだったけれど、並べ…

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 話が一段落つき、一旦は解散することになった。後々全隊長を含めエイリアスに対する会議をすることを計画し、今は気たるべき時に備え英気を養っておくようにとも王さまから言い渡される。 その後部屋から出て行こうとしたおれたちに、…

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最終章

  セイミアの言葉を受けたおれたちは、まず十五さんにりゅうを預かってもらい兄ちゃんの部屋に戻るようお願いをした。詳しい事情を説明しなくてもエイリアスの名前が挙がったからか、すぐに頷いてくれた。 おれたちは動揺し…

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  真っ直ぐ来たのは個別の病室が連なる一角で、一番奥の扉、目的となる場所の手前でようやく身体を下してもらえた。けれどすぐには動けずその場で立ちすくんでしまうおれに、先に岳里が動く。 扉を叩くこともなく無言のまま…

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  おれと十五の両親は、前にも話したことがある通り竜人と人間との盟約に結ばれた二人だ。 父方となるのが盟約者、母方となるのが竜人と、父方は竜人母方は人間となることが多い盟約関係にああたる番たちの中では珍しい方で…

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 残されたおれたちは互いに口を閉ざして、重苦しい雰囲気とともに長い沈黙が訪れる。けれどその圧迫感をはねのけ、どうにか乾いた口を開かした。「いつから、起きてたんだ」「――悟史の体質について話し始めた頃だ」 なら、ディザイア…

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 城に戻ったおれたちは準備を整えていた王さまたちに迎えられ、迅速にそれぞれの治療にあってもらうことができた。 まず重症の兄ちゃんはセイミアに任される。治癒術は効果がないと岳里から説明を受けたセイミアは迷う素振りも見せず、…

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 「つう、かく……痛みに」 エイリアスの言葉に、おれは心当たりがあった。 確かに岳里はおれが全力で足を踏んづけても、腹を殴ってもまったく動じることがない。だから前々から痛みに強いんだろうな、とは薄々感じていたん…

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 エイリアスはルカ国と同じ大陸内、東の森にいるらしい。ルカ大陸のみを記した地図を見せてもらったけれど、ディザイアが示した先はそう城から遠くなく、竜の翼でではあるけど一時間もしない場所にあった。 そんなに近くにいるだなんて…

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 ……まあ、その反対で岳里は顔にも声にも出さなかったけれど、少ししょげているようだ。おれがいなくても部屋には岳里がいるというのに、それなのにりゅうはおれを探しだす。けれど岳里が近くにいなくなっても別に探そうとする素振りは…

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