これまで散々振り回して、迷惑をかけてきた。きっと嫌われたとまで思うほどで――でも、彼は見放しはしなかった。
だから変わろうと思ったし、たとえ自分の望むかたちでなくても、彼のそばにいられるのならそれでいいと思った。
それなのに。
「泣くなよ」
吐息のようにささやき、濡れた目尻を彼の指先が優しく拭う。それが少し震えていることに気が付き、ますます涙が溢れるものだから、彼は小さく笑った。
もう泣かないと決めた。でも、幸せなこの瞬間だけは、今だけはどうか許してほしい。
頬に添えられた手のひらに顔をあすげて、僕はそっと目を閉じた。