休んでくださいと進言しても働き続ける王さまに、ついにしびれを切らした宰相はドランを呼び出しました。
部下たちに騙され毛布で簀巻き状態にされた王さまを、ドランに抱っこさせます。
王さまはたいそうお怒りでした。けれど、どんなに暴れようと力持ちのドランには敵いません。
宰相から休むことの大切さを事前に教わっていたドランは、王さまをあぐらの中に囲うように収めてヨシヨシとなだめます。それでも王さまは暴れようとしていましたが、いつしか怒り疲れ、ドランに抱かれたまま幼子のように眠ってしまいました。
一度ぐっすり眠ったおかげで、王さまの頭はスッキリしていました。そしていかに冷静でなかったのか自覚して反省しました。
宰相たちに謝罪をして、休むべきときはきちんと休むことを約束したのです。
それから王さまは、時々ドランの膝の上で休むようになりました。
日向ぼっこが好きなドランはよく庭に座っています。地べたに直接腰を下ろしているドランの上に乗りこんで、ベッドの代わりに身体を預けます。
いくら広いドランの足の上でも、王さまの頭と足は少しだけはみ出してしまいます。ですから王さまは、ドランに両腕で支えるよう命じました
「ドラン、覚えておけ。わたしが居心地のいい抱き方はこうだ」
「わかった。ドラン、おぼえた。へーがすきなの。ずっとドランがだっこしてあげる」
物覚はあまり良いとは言えないドランでしたが、王さまの心地よい場所の作り方を忘れることはありませんでした。
求められれば抱きかかえ、望まれなくても王さまがつらそうにするときにはそっとその身体をすくい上げて、周りから隠すように大きな身体で囲います。
王さまはいつも「仕方のないやつだ」と呆れるようにしていましたが、その後にほんの少しだけ、小さく笑うのです。
すぐにいつものむっつりしたしかめっ面に戻ってしまいますが、その一瞬を見るのがドランは大好きでした。ドランにとっては幸福の瞬間なのです。
そして王さまにとっても、それはかけがえのない癒やしの時間でありました。
ドランは王さまの心に寄り添い、唯一の心安らぐ場所であり続けました。