◇神鳴◇

菜月さまが再び【Desire】の岳里×真司を書いてくださいました!
題名の神鳴(かみなり)に関するお話を、どんな内容か、想像しながらみなさまもお楽しみください^^

(時期はディザイアから帰ってきている辺りを想像していただければ。ネタバレはございません)


◇神鳴◇


雨音で目が覚めた。
眠る前はまだ降っていなかったけれど、窓の外は風の音もする。
時折、カタカタと振動もする。
ふと隣室の窓が気になった。
戸締まりは済ませたつもりだけどその記憶は酷く曖昧だ。
強い雨は窓に叩きつけられているようになってきてる。
万が一窓が開いていたら、吹き込んでいたら堪らない。
そんな手間でもないし、ちょっと見に行こうかと身体を起こそうとして、…起きれない事に気が付いた。
背後から回された岳里の腕が、しっかり回っている。
眠っている岳里を起こすのも可哀想だし、閉まっていたら無駄足だ。
でも寝ていても、岳里の腕の力は強い。
夜中、トイレで目が覚めた時にこうなってると、こっちも余裕ないから色々大変だったりする。
取り敢えずどうするか。
悶々と悩んでいると雷まで鳴り始めた。
まだ遠い。
けれど雨足は強くはなれど弱まらない。
やっぱり吹き込んでたら大変だと自分に言い聞かせ岳里の手を叩く。

「岳里、腕を離せ」
「……」

気持ちよさそうな寝息が聞こえるが何度か揺すると漸く僅かに腕の力が緩んだ。
…その頃になると大分雷が近付いてきていた。

「岳里」
「……なんだ」

漸く眠そうな返事が聞こえた瞬間。真っ暗にしていた室内が、突然光に包まれた。
その直後の轟音に吃驚しつつ、口を開く。

「隣の部屋…」
「……」

言いかけたけど、止めてしまった。
岳里は無言だ。
でも、腕の力がさっきまでと違ってかなり強い。
気のせいだろうか、僅かに震えているようにも感じる。

「…岳里?」

呼んだ瞬間また稲光。

「……っ」

間髪入れない轟音はさっきより大きく地響きのようなものまで付いてきた。
近くに落ちたのかもしれない。
ぎゅっと、岳里が抱き締めてきた。
黙ったままだけど息を呑むようなその態度で気付く。
どうやら雷が苦手なのだと。
知らなかったとは言え可哀想な事をしてしまった。寄りにも寄って雷が一番近いであろう時に起こしてしまうなんて。
背中なら抱き込まれているから顔を見れない。
抱き締め返せない。だから、回された腕に手を重ねゆっくりと撫でた。

「ごめんな岳里。大丈夫だよ」

そう言うと、少しだけ腕の力が緩んでいった。緩んだ所で身体の向きを変え、正面から岳里を抱き締めた。

「真司」

ぽつりと呟かれたのはおれの名前。
その雷雨が終わるまでおれは岳里を抱き締め、時々背中を撫でた。
そして、翌朝。
明るい日差しが差し込むキッチン。朝食の並ぶテーブル。
岳里の眼がある一点に釘付けになっている。
おれはさっき考えておいた言い訳を口にした。

「材料の期限が近かったから今朝は特別」
「毎日でもいい」

丼によそった白米や諸々のおかずの他にもう一つ。
焼きたてのバナナケーキを二本、デザートに付けた。
昨夜、一番怖いだろう時間に起こしてしまった囁かなお詫び。
嬉しそうに眼を細めてそれを頬張るのを見ていると、毎日でも作ってやりたくなる。
また理由を見付けて作ってみようか。
岳里が忘れた頃に。

END

頂きもの

 



実は岳里、雷が苦手です。
雷の轟音が幼少期のトラウマにより苦手だったりするんです。おそらく本編ではでないネタです。
彼は顔に出さないですし、震え上がったりもしないので周りが気づくことはありませんが、真司の前でだけちょーっぴりそれを出してしまいます。安心してしまうんでしょうね

真司の方はびっくりはしますけど雷はへっちゃらです。彼自身も大きな物音が苦手ですが、雷だとわかっていればなんてことはありません。

ついでに暴露しておくと、岳里が苦手なもの2として、虫があります(笑)
なので家にて発見されたGを退治するのは真司の役割。岳里は無言で椅子の上に退避です。
でももちろん、真司も駄目だった時はちゃんと根性出しますよ!

ちらっとしかお話してなかった言わば小ネタをこうして書いてくださるとはありがたいです!

菜月さん、本当にありがとうございました!