幸あれきみに

 

 

花舞えきみにの続編『幸あれきみに(仮)』は、前作から数十年後の未来です。勇者は朽ちた旧魔王城に閉じこもり、魔王が残した禍の種を守る者となっていて、人間側からは再び災いを齎らさんとする者、再禍(さいか)の英雄と呼ばれるようになります。

老齢の勇者はリアリムの残した種の芽吹きを見守り続けていました。しかし種はいっこうに芽を出さずにいましたが、ある日勇者は夢で大樹となったリアリムの木の幻を見ます。
その根に、一人の少年が眠っていました。それが今作の主人公です。勇者が目覚めると大樹の姿はなく、かわりに小さな芽がでており、その隣に眠る少年がいたのです
少年は異世界から迷い込んだ者です。そして勇者はすぐに気がつきます。世界を変える鍵、繰り返される勇者と魔王の悲しき連鎖を断ち切るきっかけで、リアリムが導いた奇跡の種だと。勇者は主人公を利用することを決め、彼を保護するところから物語は始まります。

主人公のお相手もまた、この世界での異分子である魔物です。しかも魔物でありながら勇者のように心があり、自らの意思で行動ができる特別な魔物です。存在するはずのない者同士が交わることで、勇者たちは運命に立ち向かっていくというものを考えいます。

続編の結果は、花舞のエピローグに描かれていますが、そこで語られているものは勇者が世界に癒しの花を降らし、再び花で溢れさせたことから再花の英雄と呼ばれると語りつがれているように真実でないことも含まれています。どうやって生まれ変わった世界で巡り会うことができたのかをいつか書ければなと。

エピローグでの勇者一行ですが、前世の記憶があります。ですが、リアリムは勇者もといシュカと再会しても、生涯前世の記憶を取り戻すことはありません。時折ぼんやりとしたデジャヴを感じる程度です。でも勇者たちのことを大切に思っていたことは魂に刻まれています。