守られているということ

 

 アイドリッシュセブンの大和、三月、ナギの三人とトリガーとでぶらり町歩きのロケをしているときのことだ。
 日差しが強く、今朝からあまり体調のよくなかったナギを大和たちは心配していたものの、いつもの勢いはないながらにバテることなく、ロケは無事終えることができた。
 そのときの放送を見ていた環が、王様プリンを頬張りながらふと呟く。

「なあ、そーちゃん」
「どうしたんだい、環くん」
「なんかさ、リュウ兄貴、ナギっちのそばにずっといねえ?」
「そういえば……確かにそうだね」

 六人もいるので、同じ画面に映る相手が同じにならないようにある程度立ち位置を入れ替える。以前陸と壮五と環、天と龍之介でロケ形式の撮影をしたときもそうであったし、そのとき龍之介もほどよく位置を入れ替えていた。
 龍之介がナギに対して、みなにむけるものとは異なる好意があることはメンバー内には周知の事実であるが、かといってそれを仕事に持ち込むような人ではない。
 何故だろうと二人で首を捻っているとき、ナギが帰宅した。
 挨拶を交わすとすぐ、テレビ画面にナギが気がつく。

「OH、先日撮影したものですね。あの日は日差しが強かったのに、思いの外涼しくて助かりました」
「……あ、俺わかった」
「ワッツ?」
「リュウ兄貴がナギっちのこと守ってたんだ」
「……十氏が、ワタシを?」
「――ああ、なるほど。そういうことか」

 環の発言に合点がいった壮五も頷くが、ナギは何故そこで龍之介が出てくるのか理解できない。しかし、二人は教えてくれないままに共有する秘密に笑顔を見せた。

 


 あの日、龍之介が日除けになっていてくれたことをナギが知ったのは、ふと龍之介と日焼けの話題になったときのことだった。

 おしまい

 2018.9.30

 

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