睫毛

 

「あ、ナギくん。ちょっとこっち向いて」
「なんです?」
「睫毛が……よし、取れた」

 ナギの右目の下を摘まんだ龍之介の指先には、確かに落ちた睫毛があった。それを龍之介はまじまじ眺める。

「きれいな色だよね。それに、やっぱりナギくんの睫毛は長いよね」

 あまりに嬉しそうな顔をしているもので、ナギはじっとりと龍之介を見やった。

「コレクションはご遠慮ください」
「えっ、あ、いや、そんなことしないよ!?」
「なら早くそれを処分なさい」
「……でも、少しもったいないな。こんなにきれいなのに」
「ワタシの一部であったものですからそれは否定しませんが……リュウノスケ。今のアナタは少しヘンタイくさいです……」
「えっ!?」

 おしまい

 2018.9.29

 

雨と傘とリュウノスケ top パンツ事件