早く、早く見つけないと――。 帰路に就く者で溢れかえる道のなか、彼らを避けながら急いていく。しかしどうも足元が覚束かない。しっかりと歩いているつもりなのに、地面を踏みしめている感覚がひどく遠いのだ。 しかし、それでも…

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  首筋に唇が触れているほどにヴァジアードが近づいているということは、洸もまたそれだけ彼に近づいているということ。それほど距離が縮まっていれば、目を瞑っていても感じる彼の気配と体温、そしてあのほんのりと甘い匂い。 行場の…

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  ようやく指が引き抜かれ、全身から力が抜ける。うつ伏せになった身体を完全にベッドに預けると、目尻に溜まっていた涙が敷布に吸い取られていく。 まだ尻になにか入っているような違和感があった。長い間潜り込んでいたヴァジアード…

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  ふと目覚めると、見覚えのない白い天井が見えた。 横たえる場所はふわふわとしていて、身体にかかる掛け布団はとても軽く柔らかなのにしっかり暖かい。どうやら、随分上質なベッドの上にいるようだ。それも、どこか甘いな…

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