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フェリクスの魔力値は平常時に戻ったが、一度枯渇状態になって倒れたこともあり、数日間は安静をするよう侍医から言い渡された。 フェリクスがベッドにいる間、春一は授業に出る以外は常に傍にいて世話をやいた。 もう大丈夫だとわ…
続きを読む →フェリクスの魔力値は平常時に戻ったが、一度枯渇状態になって倒れたこともあり、数日間は安静をするよう侍医から言い渡された。 フェリクスがベッドにいる間、春一は授業に出る以外は常に傍にいて世話をやいた。 もう大丈夫だとわ…
続きを読む →はっと目を開けると、目の前にはまだ眠るフェリクスがいて、その手を握りこんでいることに気がつく。 見ていた夢のせいか、自分の手に力が入っているのがわかる。じっとりと汗も掻いて今にも震えだしてしまいそうな気がして、フェリ…
続きを読む →懐かしい夢を見た。 春一がこの世界に来たばかりの、フェリクスがまだ魔力過多症に苦しんでいた頃のものだ。 食事も受けつけないほど衰弱したフェリクスの身体は、転べば折れてしまいそうなほど薄く、自力でベッドから起き上がるのも…
続きを読む →微かに睫毛が動いた気がして顔を覗き込むと、ゆっくりと瞼が持ち上がる。「フェリクス」 しばしぼうっとしていたが、春一を認識したのか、何度か瞬くうちに次第に瞳の焦点が合っていくのがわかった。「は、る……」「そうだよ。無…
続きを読む →倒れたフェリクスはそのまま目覚めることはなかった。 急ぎ城に戻り、すぐさま侍医に容態を診てもらう。 途中までは王都の散策を問題なく楽しんでいたはずだ。何か原因があるとするなら強盗の一件だろうと、一連の出来事の経緯をな…
続きを読む →「春一っ」 悲鳴のようなフェリクスの声が響くと同時に、春一と男との間に薄い膜が現れた。 男の手は半透明の膜に遮られ、春一に触れることなく弾かれる。 驚愕を露わにする男の顔を目の当たりにしながら、腕に着けていたバングルが…
続きを読む →時折いたずらをするように春一を翻弄してくるフェリクスに踊らされつつ、二人は王都を回って楽しんだ。 美味しいものも食べて、珍しいものも見て、かつこっそりと実行していったまじないも想定より順調に消化していく。 城を出てす…
続きを読む →馴染の店主からお金と引き換えに串焼きを受け取り、屋台から少し離れて通行の邪魔にならない場所に移った。 その間にも渡される直前まで炙られていた肉はじゅわじゅわと音をたて、美味しそうな匂いで春一たちを魅了する。移動のほ…
続きを読む →「……実は、外出は中止しようかと考えているんです」「お二人とも楽しみにしていらっしゃったのでは?」「そうなんですけどね。でも最近、フェリクスの調子がよくないみたいなんです。だから取りやめてしっかりと休ませたほうがいいか…
続きを読む →シャティフルの第二王子に気をつけて――そう、フェリクスには言われていたのに。 二日前の会話を思い出しながら、春一はどうしたものかと内心で頭を抱えた。「ハル殿、どうかされましたか?」「いえ――」 にこやかに声をかけてく…
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