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 勇者が最後の目的とする魔王が座する魔王城。それの場所を誰も知られていないのには厄介な事情があった。
 城ともなればそれなりの規模がある。ましてや魔族の王がいるともなれば人々の注目は集まることだろう。だからこそ魔王は、自らの根城を頻繁に移動させているのだ。
 魔王場は場所を定めていない。魔王の魔術によって規則性なく様々な場所に移っては、しばしそこに滞在して、また世界を巡るということを繰り返しているのだという。
 なおかつ魔力の弱い者の目には見えぬようにと隠匿の魔術も施されているため、一般人にはまず見えない。故に魔王城の居場所を問うても、見たこともない者が大抵なのだ。
 では居場所を把握されている勇者は魔王城に近づけないのではないか。相手に気づかれ、城ごと移動されてしまうのでは永遠に辿り着くことができないだろう。
 そんな話を聞けば誰しも思い浮かべる疑問を解消すべく、勇者たちは旅の目的の半ばにある神殿へと向かっていた。
 歴代の勇者たちは、現代と同じく煙のように身軽に揺らぎ消えてしまう魔王城になんらかの方法で辿り着き、そして魔王と対峙してきた。その当時の資料があれば勇者とてわざわざ情報を聞きまわらなくてもよいのだが、それらに関する文献が残っていないのだ。
 魔族の仕業が、それとも人間の過失か。重要な物事であるからこそ後世のために遺されているはずが、消えてしまった過去はどうしようもできない。だからこそ今勇者は手探りの状態でいるのだが、もしかしたら神殿に、魔王城に関するなにかがあるかもしれないという。
 世界に散らばる聖なる光の神殿。勇者と、彼に認められた者しか入れぬ場所とされていて、闇に身を染める魔族は建物に近づくことさえできないと言われている。そしてそれぞれの神殿には勇者にまつわるものが封印されていたり、文献が遺されていたりするのだという。
 勇者が携える二振りの剣のうち、片方は神殿で手に入れたものだとも教えてもらった。
 見た目はなんの変哲もない、どこにでも流通していそうな剣に見えるが、実際は持ち主の意思によって姿を変える巧妙な魔術が施されているのだそうだ。勇者の称号を得ている者しか扱えず、実際ラディアが試したことがあったそうだが、まるで巨大岩のように重たく持ち上がらなかったそうだ。
 そのように勇者にとって有益な者や情報、ときには魔術の極意が神殿にはあるのだという。まさに勇者のために用意されている場所だと言えよう。
 だからこそ、もしかしたらばそこに世界中から失われている魔王城に関する情報があるかもしれないと考えられた。
 木々が生い茂る森の中、馬の巨体では通り抜けられないと愛馬たちは町に置いてきた。自らの足で進みながら、魔王城に関する事柄を話し終え、リューデルトは最後にぼやくように呟いた。

「これまでの魔王と勇者の争いのときに残された数少ない資料によれば、そのときも過去の文献が一切ない手探りだったそうです。もしかしたらこれは、神が我々人間に与えた試練なのかもしれませんね」
「まあ、いつだって勇者と魔王は死闘を繰り広げてきたんだ。必ずどっかしらに道はあるだろうよ。この世界はひとつなんだ、決して手の届かない場所にあるわけじゃないんだろうからな」
「そうですね。辿り着けなければ困ります」

 隣から返ってきたラディアの言葉に、リューデルトは遠い目をした。彼もまた、勇者の従者としての重荷を背負っているからこそ、見えざる未来を見なければならぬのだろうか。
 横目で魔術師の様子を窺いながら、リアリムは躊躇いを残しながら尋ねる。

「なあリュドウ。前の勝敗は、勇者の勝利だったんだよな?」
「ええ。ですからその加護の影響で、今は人間の住める地域のほうが多いのですよ。日の時間が長く、光の力を増長させる清廉な場所を多くあるのです」

 闇の眷属たる魔族は陽を嫌い、光の加護が多い場所は苦手とされている。そのため人間はそのなか暮らし、魔族の脅威から身を守るのだ。反対に魔族にとって住みよいとされている瘴気溢れる場所は、人間にとっては害悪であり、気分が悪くなり、心の蔵の弱い者であれば死することもあるのだという。
 勇者と魔王の対決の結果によって、どちらの種族が世界の端に追いやられるかが決まる。
 百八十年ほど前にあったという前回の勇者と魔王との対決の行方は、人間側の勇者の勝利に終わった。さらに三百年ほど前には魔王に軍配があがったのだという。
 リアリムのような若者が知っていることといえばそれくらいだった。そして歳を重ねた者であっても、知っているのは人間が住みよい世界だけ。誰も暗黒の時代を過ごした者はいない。

「もし魔王が勝ったら、この世界はどんな風に変わってしまうんだ?」
「――まず、夜の時間が長くなるでしょう。不毛の地が増え、実りは減り、人間をはじめとした光に属する者たちには酷な環境となっていきます。作物にも毒が蓄えられていき、それによって病を起こすこともあるそうです。魔族は我らにとって毒になるものでもなんでも食べられるそうですから、彼らに影響はないですね」

 言葉で説明されただけではやはり、あまり具体的な想像をすることはできなかった。しかし淡々と語るリューデルトの表情のない顔に、むしろ切実な願いを見た気がした。

「我々はどう足掻いたところで、世界を旅するしかないのです。そして魔王を王座から引きずり落とし、勝利せねばなりません。そのためには彼らの情報を集めなくては。それに、リアムの身体をどうにかする術も探しませんとね」
「……ありがとう」

 これまでの雰囲気を取り払うようにこりと笑ったリューデルトに、リアリムも笑みを返して心よりの感謝を伝えた。
 しばらく先頭を切る勇者に続き、道なき道を進んでいると、ふとラディアが足を止めて振り返った。

「見ろよリアム。シロサイカだ」
「シロサイカ?」

 ラディアが指さしたのは、腰ほどの低い木に咲いた小振りで真っ白な花だった。
 聞き覚えのない名にリアリムは小首を傾げる。
 花に興味があるような男ではない。なにか意図があり示したのだろうと傍に寄ったリアリムが覗き込む。
 たった一輪しか咲いておらず、残りはまだ開きそうもない蕾ばかりだ。しかし香る濃厚な花の香りに、つい顔を顰めそうになる。
 追いついたリューデルトが脇から教えてくれた。

「それは勇者に祝福を与える花、とも呼ばれています。希望の象徴という花言葉もありますね」
「へえ。初めて見る花だ」

 花の香りから逃げるように身体を起こす。リューデルトたちをちらりと横目で見てみたが、平然としていた。もしかしたら勇者に携わる花であるのだから、慣れているのかもしれない。
 だがリアリムは、初めて嗅いだシロサイカの香りに少しばかり気分を悪くした。それほど鼻を寄せたつもりはないが、そもそもが身体に合わないのかもしれない。

「っと、あいつ容赦ねえな。待っててくれないのかよ」

 ふとラディアが前を向くと、先を歩いていた勇者が木々の影に見え隠れしていた。リアリムたちが立ち止っている間にも進み続けていたのだろう。その背と思いの外距離が空いてしまっていた。
 慌てて追いかけ、ようやく先程歩いていた並びに戻れたところで話を再開する。

「シロサイカは神殿の周りでしか咲かない花なのです。ですから、リアムも見たことがなかったのでしょうね。神殿の周りにはもっとたくさんのシロサイカが咲いているので、近づくたびに花が増えていきますよ」

 リューデルトが言った通り、しばらく進めばより頻繁にシロサイカを見かけるようになった。はじめのうちは一本の木に一輪ほどしか咲いていなかったが、次第に二輪三輪と増えていく。その度に匂いはよりいっそう濃くなっていった。
 ついには鼻先がむず痒く思えて、堪えきれずにくしゃみをしてしまう。

「寒いですか?」

 すぐさまリューデルトが反応をした。

「あ、いや、大丈夫だよ」

 誤魔化すように笑って、リアリムは小さく鼻を啜った。
 実際寒くはない。だが、少し気持ちが悪いように思える。それは花の香りを嗅いだときから続いていた。
 だがそれを告げるつもりはない。言ってしまえばきっと、皆足を止めてしまうだろう。わざわざ言うほどでもないし、それだけのことで旅路の邪魔などしていられない。
 やがて周りがシロサイカばかりになっていく。それにつれて花の香りもより濃いものになっていった。

「神殿には時を忘れる魔術が施されていると言われております。神殿はこの世の魔力が尽きるまで、不朽で在り続けるのだそうです。その魔術が神殿内の空間にも影響を及ぼしているおかげで、中で過ごす時間は通常よりもゆったりと流れているんですよ」
「へえ、それはおもしろいな」

 リューデルトの説明も、むせかえるような匂いに頭痛を覚え始めた思考ではろくに理解できなかった。曖昧な返事を返しながらも、次第に自分の身体が重くなっていくことを感じる。

「それだけが神聖視されるだけじゃないのですよ。神殿周囲に咲くシロサイカ。これは魔除け花とも呼ばれ、魔族が嫌う香りをしているのです」
「魔族が?」
「ああ。だからこの辺じゃ魔族の気配すらなかったろ? この花が他の場所でも自生できりゃいいんだが、どうにも難しいようでな。神殿の周りにしかいられないんだよ。こいつらは神殿にかけられた魔術によって保たれているってもっぱらの噂だ」

 確かに、森に足を踏み入れてからというもの、魔獣に遭遇することはなかった。むしろただの獣が息を潜めてこちらの動向を窺っているくらいだったろう。
 森は小動物型の魔族の縄張りにしやすく、自分たちの背丈よりも高い木々が伸ばした枝の隙間から狙ってくるような者も多い。そのため移動の際は頭上にも気を配らなければならず、馬もいない今、魔族と遭遇すれば逃げ切ることはできず、戦うしかない。平地でもっと自然も開けていれば対処のしようがあるが、ここは隠れやすい影がいくらでもある。
 戦えぬリアリムに魔族の気配を感じ取ることなどできるわけもなく、すべて勇者たち任せであるから気がつかなかった。

「そうなんだ。それにしても……シロサイカって、結構強烈な香りなんだな」

 これまで耐え続けてきたが、ついに弱音のようにぽろりと言葉を零す。それにリューデルトもラディアも首を傾げていた。

「そうか? 確かにこんだけ咲いてりゃ、さすがのおれも花の香りとやらを感じるが」
「強烈というほどでもありませんね」
「そう、なのか……」

 前を行く勇者の足取りにも揺らぎはない。ならばむせ返るようなシロサイカの香りを感じているのは自分だけなのだろうか。
 一歩ずつ、前に進んでいく度に襲いくる頭痛が激しくなっていく。

「おっ、見えてきたぞ!」
「これが神殿――リアム、どうかしました? 顔色が悪いようですが――っリアム!」

 深い森が突如として開け、そこに現れた白亜の神殿。千年以上存在し続ける神に愛された穢れなき真白と、その周囲に咲き誇る同じ純白を見たリアリムは、ついに倒れてしまった。

 

 

 

 薄らと目を開けると、それに気がつき顔を覗き込んできたラディアと目が合う。安堵したように表情を緩めた。

「よかった。目が覚めたか」
「らい、あ……?」

 身体を起こすとつきりと頭痛がして、思わず頭を押さえた。さっと手を伸ばしたラディアに支えられながら、傍らの木の幹に身体を預ける。
 頭を軽く振れば、心配そうにリアリムを見つめるリューデルトと、そこから少し離れた場所で木に背を預け様子を窺う勇者に気がついた。

「……あれ、神殿は……?」

 手にしていた本を閉じたリューデルトは溜息をつきながらリアリムに手を伸ばした。

「覚えていませんか? あなたは倒れたのですよ」
「倒れた?」

 長い指先に乱れていたらしい前髪を直される。だが今は感謝よりも、覚えのない状況に困惑した。
 リアリムの様子を察したらしいリューデルトは、それまで読んでいた本を示す。
 それは前々回に訪れた町、シックルで手に入れた、魔を呼ぶ者に関して記された書物だった。残念ながら大抵はすでに有している知識ばかりで、肝心の魔を魅了するという体質を改善させる方法はなかったが、念のためにとリューデルトは買い取っていたものだ。

「読んだときには関係ないと見落としていましたが、わたしの落ち度です。申し訳ありません。リアムにはつらい思いをさせましたね」
「えっと、どういうことだ?」

 頭まで下げたリューデルトに、リアリムは増々困ってしまう。
 まずは顔を上げるようにお願いをして、状況の説明を求めてようやくリューデルトは口を開いた。

「魔を呼ぶ者たちは、魔族同様にシロサイカを苦手としているそうなのです。本来人間には悪影響はないのですが、他にも例外的に反応してしまう方がいないわけではないです。強烈な香りがする、とリアムは言っていましたよね。香りに中てられて気分を悪くしていたのでしょう?」
「……ごめん」

 責められているわけでもないが、気分不良を押し通して進んでいたことを指摘され、リアリムは小さくなるしかない。

「いいえ、先程も言いましたが、記されていた内容を見逃したのはわたしです。リアムの言葉に気がつくべきでした。大抵は多少の吐き気や頭痛を感じるだけだそうですが、もとよりリアムは魔を呼ぶ者の力が特に強い。より花の影響を受けてしまったのでしょう」
「まーなんにせよ、リアムが起きてよかったじゃねえか。体調のほうはどうだ?」

 リアリムとまたも謝罪をしそうなリューデルトの間に割り入ったラディアは、いつもの調子で尋ねる。

「まだちょっと、頭が重たいかな。胸も少しむかつくかも。でも頭痛は軽くなったし、歩けないほどじゃないよ」

 先程我慢をした挙句、昏倒して結果迷惑をかけてしまったことを頭に思い浮かべたリアリムは素直に自分の身体について答えた。
 周囲を一度ぐるりと見回して、シロサイカがどこにもないことを確認する。
 気を失う寸前にまみえた気がした白い花に囲まれた神殿は、当然のようにどこにもなかった。シロサイカを苦手とするリアリムのため、わざわざ引き返してきたのだろう。

「その、ごめんな。折角神殿に辿り着いたのに」
「いいんだって。誰にも受けつけられないもんはあんだ。今回は倒れたくらいでまだよかったぜ。それにおれこそ人のことは言えないしな」

 にかりと笑って見せたラディアは、サラナンの実を食べ寝込んでしまったときのことを言っているのだろう。
 つられて笑ったリアリムを確認して、ラディアは改めてリューデルトに振り返った。

「さて、これからどうするか」
「一旦町に戻りましょう。リアムもまだ本調子ではないので歩かせてしまうのは忍びないですが、一人でここにいさせるわけにもいきません」

 この森には神殿とシロサイカの影響で極端に魔族の数は少ないが、山犬や猪といった獰猛な獣たちが数を増やして闊歩している。魔族がいようがいまいが、危険度はそれほど変わらないのだ。猟師でないし、なおかつ体調を崩すリアリム一人が森に残れるわけもない。
 それはリューデルトたちも十分に理解している。リアリムも自覚があるからこそ、自分を置いていけ、とは到底言えない。だができることなら、わざわざ愛馬たちを置いた町セブルに戻る手間などかけさせたくはなかった。それに、町に一人残るということを思えば、少し不安だった。
 あの恐ろしい出来事に遭って以降、リアリムが一人で行動することはなかったのだ。情報収集に出るとしてもリューデルトと一緒にいて、多少離れたとしても互いの目に届く範囲に留まっていた。夜は以前と変わらず勇者の抱き枕をしているし、ラディアも気にかけ傍にいてくれたのだ。
 しかし、いつまでも彼らの厚意に甘えてばかりはいられないだろう。本来であれば救われた立場であるリアリムは勇者たちに尽くさねばならぬのに、彼らに頼ってばかりだ。このままではいけない。少しずつでも変わっていかねばならない。
 厄介な体質を抱えてしまっている上に、戦えず、知識も足りず。ごく平凡な自分はどうしたって勇者一行の足手まといにしかならないのだとリアリムがひそかに肩を落としたところで、そこにラディアの大きな手が乗せられた。

「ならおれがリアムと残る」
「あなたがですか?」

 意外そうにリューデルトは目を向けた。リアリムも予定していなかったラディアの言葉に瞬く。

「どうせおれが神殿に行っても寝てるだけだし、それならおまえと勇者だけで充分だろ。リアムもできることならまだ寝かせておいたほうがいいだろうし、ここでおまえらのこと待ってるよ」

 おれが一緒にいりゃここでも問題はないだろ、とラディアは自らの実力を誇るでもなく、あっけらかんと言ってのけた。
 ラディアの申し出に今度はリューデルトに顔を向ければ、彼は頷く。

「それもそうですね。むしろそのほうがあなたも有意義に過ごせることでしょう。ならばリアムを頼みますよ」

 神殿には三日ほど籠り、それから一度戻ってくるとリューデルトは説明した。実際のところリアリムたちがそれまでに待機している時間は、神殿内とは時の流れが異なるため、二日ほどだ。
 リューデルトと離れなければならないので、念のためにと魔を呼ぶ者としての力を封じる結界を施し直してもらう。リアリムたちが過ごす場所にも獣たちの目を晦まし匂いを断つ、別の見えず触れられぬ空気のような壁を張ってもらった。
 荷物も二組に分け終え、勇者とリューデルトは立ち上がる。

「では早速行ってまいります。できるだけ早く帰ってはきますが、決して無理はなさいませんよう。なにかあればライアをこき使ってやってください」
「言われなくてもちゃんとやるっての」

 不服気に唇を尖らしたラディアに、可愛くないですよ、とリューデルトは冷めた眼差しを向けた。
そんな二人のいつものやりとりを傍から見て笑っていると、視界の端で動く姿に気がつく。
 振り返れば、隣に勇者が立っていた。

「つらいときはつらいと言え」
「すみません。次からは迷惑をかけないようにします」

 迷惑をかけぬようにと不調を押し黙り、実際には倒れて引き返させてしまった。もしあの場ですぐに訴えていれば、リューデルトが本の記載を思い出し、せめてその場で別れることもできたかもしれない。
 体調不良を起こしたのは決してリアリム自身が悪いわけではないが、対応を間違えたことは認めていた。素直に謝罪し勇者に頭を下げれば、次に顔を上げたとき、彼はなんだか複雑そうにやや眉間に皺を寄せている。

「そうでは……」

 なにかを言いかけるも、けれども勇者は口を閉ざし、そのまま苦笑するリューデルトとともに森の奥に向かっていった。
 ラディアとともに消えゆく二人の背中を見送っていると、いつの間にか離れていたらしいヴェルが身体を駆け登ってくる。
 肩口に乗った小さな友に目を向ければ、小さな手を忙しなく動かして顔を洗っていた。

「……なんだったんだろうな?」

 熱心な毛づくろいを始めた友は、リアリムの疑問などまったく気にしない。背後ではラディアが笑い声を噛みしめていた。

 

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