ふとアロゥに呼ばれた気がして部屋に戻ると、まだ日のある時間であるにも関わらず彼は寝台の中にいた。 傍にゆくと、どうやら起きていたらしいアロゥはゆっくりと目を開け、微笑かける。「フロゥを呼んできてほしい」 ジ…

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「えっ、あっ……」 ぴくりとジィグンの身体が震える。戸惑った声が頭上で聞こえるも、吸いつき、口の中で乳頭を舌先でいたぶる。 身を捩って逃げようとするのを咎めるよう、左側をまたきつめに摘まむが、いてえ、という声はそうには聞…

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 どうにかなったものの、ヤマトとコガネに出鼻をくじかれ、他の隊長たちの説得も難航するかと危惧していたハヤテだったが、残りはことのほかあっさりと同意を得ていくことができた。 獣人が獣人を呼び出すのに興味を持った者もいれば、…

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  扉をノックすると、中から返事が帰ってくる。 二枚扉を押し開け中に入ると、この部屋の主である王と彼の獣人であるネル、そして先程会ったばかりの岳人と真司、そして彼らの息子であるりゅうが揃っていた。 去り際王の私…

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 ノックの音にすぐさま、どうぞ、とフロゥが入室を許可する。「お邪魔します」「あっ、真司さんに岳里さん!」 開いた扉から顔を出した真司と岳人に、フロゥは満面の笑みを見せた。 つられるよう真司も顔を綻ばせるが、続いてぬっと現…

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  アロゥの死去より、二週間が経過した。一か月は喪に服すことになっているが、人々の悲しみも少しは落ち着き、皆に明るさが戻ってきていた。 アロゥの死後、誰しも慌ただしく仕事に追われていたのもあっただろうが、次ぐ噂…

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  弟子のフロゥに見守られ、アロゥは静かに息を引き取った。 明け方に起きた偉大なる魔術師の逝去の知らせは瞬く間に伝わり、彼を深く信頼していた王や同僚だけではなく、国民まで深い悲しみに包まれた。 三日かけて人々は…

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Clumsy

本編完結より数年後  いつもの隠れ場で仕事をさぼり昼寝に勤しんでいたハヤテは、大きな欠伸をしながら廊下を歩いていた。 そこに多くの部下を従える隊長の威厳はかけらもなく、寝起きの瞼はいかにも重たげで、ただでさえ目…

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