二人きりの朝

  つんつんと頬を軽く突かれて、それから逃げるようにノノは身を捩じった。「――ぅ、ん……あと、も、ちょい……」 その言葉は聞き入れてはもらえないらしく、四方から伸びてきた植物が毛布を剥ぎ、ノノの腕に絡みついて身体を引き起…

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傍にいて

  町に移住して少し経った頃から、現在までの話 ふと昼寝から目覚めたノノは、自分の身体に眠る前にはなかったはずの毛布がかかっていることに気がついた。 どうやらまたシュロンが風邪をひかないようにとそっとかけてくれたようだ。…

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15

 朝食には昨夜食べそびれた夕食を回すことにした。 ノノはベッドから動けそうになかったので、その原因となったシュロンに寝室に朝食を持ってくるよう命じた。しかし一瞬たりとも離れたがらず、力を使って植物に準備させて運ばせる。 …

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14

  シュロンの部屋にもつれ合うよう雪崩れ込んだふたりは、成長した身体に合わせて新調したばかりのゆとりある広いベッドに飛び込んだ。というよりもノノがシュロンを押し倒して、その上に跨る。 上着を脱ごうとすると、ベッドサイドに…

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13

 「ずっと考えてた。何度もノノの手を拒んだのに、それでもぼくのもとに来てくれた。危うい橋は渡らないはずなのに、最後まで諦めずに、盗み出そうとしてくれた。どうしてなの?」「どうしてばっかだな」 シュロンの言う通り、ノノはで…

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12

  大地の精の力によって地下の崩壊から守られたノノたちは、すぐに国を脱した。 いざという時の逃避先にと選んでいた隣国の隅にある田舎町まで逃げ延びたノノたちは、それから一年、街の端の空家を借り入れてどうにか無事に過ごしてい…

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11

 「なんだっ?」「こんな時に地震か!?」  ぱらぱらと土の欠片が天井から落ち始めて、次第に強まっていく揺れに司教たちに動揺が走る。 濃厚なキスに負けている場合じゃないとノノも顔を起こしてシュロンを見たとき、ようやく彼が薄…

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10

  神殿の傍で隠れていたノノは、シュロンの指摘通り告知した七日後ではなく翌日の深夜に訪れた司教たちの後をつけ、ひっそりと地下迷宮に入り込んだ。 ふたりいる護衛はノノの追尾に気づいていないらしく、シュロンが造り出した最奥へ…

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  植物が張り巡らされた迷宮の中を移動するノノの気配が無事出口まで辿り着くのを見守りながら、シュロンは思った。 あの勢いでは、もうノノがここに戻ってくることはないだろう。 きっと、もう二度と。 差し出してくれた手を取らな…

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  ゆっくりと地面に降ろされたノノは、すぐに大樹の正面に行きぼんやりとした様子でいるシュロンに詰め寄った。「おい、新しい贄って……!」 ノノが声をかけてもシュロンの視線は下を向いたままだった。「シュロン?」「――ぁ……な…

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