ディザイアが退室し、りゅうのお披露目と神さまとおれの顔合わせ、そして千里眼についての答えを聞くと言う、そのために集まったみんなはすべてが終わり解散することになった。 最後に王さまから、近いうちに話されるであろうエイリア…

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第9章

  ふと目を開けると、見慣れた天井が目に入った。寝起きの頭でぼうっと、ここは城の、おれたちの部屋だと悟る。 そのまま顔ごと視線を横にずらせば、ベッドの傍らで椅子に腰かけおれを見つめる岳里がいた。その姿を見て、一…

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 しばらく木々の間縫うように歩くと突然道が開ける。その先には少し前に見たばかりのアモル・バロークがそびえたっていた。初めて見るセイミアはその白い姿に息を飲み、おれも、この木から今は卵となった宝種を手の中で撫でる。 大樹の…

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 悪阻を自覚してから七日ほどで、常に感じていた気持ち悪さや吐き気は殆どなくなり、多少身体のだるさは残りつつも気分は十分よくなった。 岳里からも許可を得て、それからまた七番隊の手伝いにも参加できて、岳里からもようやく離して…

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 身体を揺すられ、重たい瞼を開けた。「ん……?」「飯が来た。食うぞ」 酷く掠れた声を上げると、傍らに立っていた岳里が、おれの顔を覗き込んでくる。目やにでもついていたのか、右の目頭を親指で擦られた。 言葉通りすでに朝食は並…

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  子作りする期間は基本大人しくしていろ、と岳里に言われたおれは、七番隊の手伝いをする時間を減らすことにした。岳里はそれでも続けるということにいい顔はしなかったけれど、もう少したてば絶対安静となって手伝いなんて…

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「声を出した方が楽だ。おれしかいないから堪えなくていい」 そう言われたって、恥ずかしいもんは恥ずかしい。女じゃあるまいし、男に迫られて嬉しそうに声をあげたいわけがあるか。 そう、思うのに。閉じることもままらない口からは次…

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  部屋に入ってくるなりおれの姿をすぐに見つけた岳里は、珍しくふき出した。「予想していた通りだ。だがまさか、本当にそうして待っているとはな」「う、うるせぇ……しかた、ないだろ」 そう目も合わせられないまま告げれ…

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  名残惜しくも思えたが、次に進まないといけない。おれたちは一度はかたく結んだ抱擁を解き、覚悟を胸に一階へと降りた。 そこでは以前と変わらぬ姿でカランドラさんが座りこんでいて、目を閉じていた。けれどおれたちに気…

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第8章

  中庭に行ける渡り廊下で、おれはネルとアロゥさん、そしてその後ろに静かに控えるユユさんと向き合っていた。「忘れもんはねえなあ?」 ネルに問われて、おれは一度自分の肩にかけられた鞄に目を向ける。「ああ、たぶん大…

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